2015 MotoGP 第3戦アルゼンチン決勝



Moto3クラス決勝

理由はわからないがウォームアップラップでロマーノ・フェナティがニコラス・アジョに対して激昂。文句を言うだけでは飽きたらず走行中に蹴りを入れ、スタート練習のため?にコース上に停車していたアジョの横につけて口論。怒りが収まらないのかアジョの態度が気に入らないのかフェナティの手が出る。さらにアジョのマシンのキルスイッチを切ってしまった
Moto3クラスのマシンは始動性が悪くて押しがけが容易でないらしく、アジョのマシンは再始動できずにレッカーでピットに戻ることとなった
この一連の暴挙で累積4ポイントのペナルティを受けたフェナティは結果として最後尾の34番手からスタートすることとなった。
元のグリッドが8番手だったことを考えると、一時の悋気の代償はかなり高くついたと言えるだろう


ポールは2013年のオランダGP以来のポール獲得となるミゲル・オリベイラ、2ndにダニー・ケント、3rdにニッコロ・アントネッリ
以下エフレン・バスケス、イサック・ビニャーレス、カレル・ハニカ
ルーキー勢トップのホルヘ・ナバーロ、フェナティが抜けた繰り上がりで日本の尾野弘樹、エネア・バスティアニーニ
リビオ・ロイ、フアンフランゲバラ、アレックス・マスブー
クアッタハッホは15、フェナティと揉めたアジョは16
日本の鈴木竜生は31


尾野はスタートで出遅れホールショットはオリベイラ、続いてケント、アントネッリ、イサック・ビニャーレス、カレル・ハニカ、マスブー、バスケス
オリベイラは良いスタートを見せた
1周目でガブリエル・ロドリゴが女性ライダーのマリア・エレーラと接触。エレーラは転倒リタイア。一方ロドリゴはレースに復帰したものの残り1周でリタイア
レース序盤、オリベイラ、ビニャーレス、アントネッリの首位争い
16番グリッドからスタートしたクアッタハッホは中団を一気にパスして2周目には4番手に浮上
3周目、3、4番手と好位置で様子を伺っていたダニー・ケントはストレートエンドでトップに立つ
ナバーロも7番手から2番手まで浮上するも、5周目でスリップダウン。ナバーロはレースに復帰したが巻き込まれたアントネッリは転倒リタイア
続く6周目にマスブーが転倒。なんとかレースに復帰したものの、続行できない状態となり8周目にリタイア
オリベイラにも接触があり、順位を下げる
ナバーロ、アントネッリ、オリベイラが先頭集団から消えた隙にバスティアニーニが3位に急浮上
日本の尾野も残り12周で一時は2位まで浮上したが、ミスや接触もあり9番手まで後退
中盤はバスケスが先頭となって2位集団を引っ張る
3周目でトップに立ってからずっと安定したペースでラップを重ねていたケントは残り11周で2位のバスケスに6.5秒の差をつけ完全に独走状態。残り9周では7.740秒まで差を広げた
一時中断に沈んでいたオリベイラも残り10周でファステストラップの1分48秒977と好タイムを刻んで表彰台争いに加わる
最後尾スタートだったロマーノ・フェナティはいつの間にか順位を上げ、10番手を走行していたアジョを抜き、さらに尾野も抜いて9位に浮上。
2位争いが激しくなり車列が短くなると13台が入り乱れる混戦状態のまま終盤へ
残り5周でフェナティはとうとう6番手まで順位を上げる
トップのケントと2位との差は10秒1とどんどん広がって行く
残り3周、尾野弘樹が素晴らしいオーバーテイクでブラッド・ビンダーとバスティアニーニを抜き去り5位まで浮上。オリベイラとたびたび接触する激しいバトル
最終ラップ、2位集団はバスケス、ビニャーレス、クアッタハッホ、ビンダー、オノ、オリベイラ、フェナティ
最終ラップで尾野はややブレーキングが甘くバスティアニーニ接触、大きく順位を落として13位でフィニッシュ


結果は2位に10.334という大差をつけてダニー・ケントが2戦連続となる首位独走での優勝。続いて2バスケス、3ビニャーレス、4オリベイラ、5ブラッド・ビンダー、6クアッタハッホ、7カレル・ハニカ、8ロマーノ・フェナティ、9バスティアニーニ、10アジョ、11フランセスコ・バグナイア、12リビオ・ロイ、13尾野
日本の鈴木は27位
ハスクバーナで果敢に攻めたビニャーレスが3位表彰台。オリベイラは表彰台に届かず。クアッタハッホもグリッドのワリには良い位置を獲得
フェナティは最後尾からの8位フィニッシュとペナルティがなかったらと思わずにはいられない


1位ケントのトップスピードは220.1km/hだった

Moto2クラス決勝(23周)

ヨハン・ザルコが2014年のイギリスGP以来となるポールポジションを獲得。2ndはティト・ラバト、3rdはトーマス・ルティ
2列目サム・ロウズ、アレックス・リンス、ジョナス・フォルガー
3列目シモーヌ・コルシ、サンドロ・コルテセ、シャビエル・シメオン
4列目ミカ・カリオ、ランディ・クルメナッハー、マルセル・シュロッター
5列目ロレンツォ・バルダッサーリ、フリアン・シモン、中上貴晶
アレックス・マルケスは20番手からのスタート


レースはラバトがホールショット、続いてザルコ、ルティ
ところが5コーナーでラバトがコースアウト、大きく順位を落とす。後ろではフォルガーもコースアウト
代わってシメオンが先頭に。続いてザルコ、ロウズ。アレックス・リンスは7番手
2周目、ミカ・カリオが4位に浮上。シモーヌ・コルシは9コーナー?あたりで転倒リタイア
リンスも5位に浮上して、順位はシメオン、ザルコ、ロウズ、ミカ・カリオ、リンス、コルテセ、ルティ、バルダッサーリ、ウェスト、モルビデリ
22番手スタートのモルビデリは10番手と良いポジションをキープしている
3周目、ザルコがシメオンを抜いてトップに出る
フリアン・シモンは5コーナーで転倒
続く第4周、先頭に出たザルコはペースアップ、後続をふるいにかける。日本の中上は18番手
5周目でザルコに付いていけなくなったシメオンをロウズが抜き、2位に。ルティは接触があったのか9番手まで後退。かわってモルビデリが7位に浮上
中上は20位。7周目には21位まで後退
1.542秒だったザルコと2位のロウズの差は9周目には1.931まで拡大
周回ペースはザルコが1分43秒079に対してロウズは1分43秒515と0.5秒近い差がある
10周目時点での順位はザルコ、ロウズ、シメオン、カリオ、リンス、コルテセ、モルビデリ、バルダッサーリ、ルティ
モルビデリはさらにコルテセも抜いて6位に浮上
シメオンはミスがあり5番手に後退。中上は23番手と振るわない
残り13周、5コーナーでのカリオのミスをついてリンスが3位に浮上
アレックス・マルケスはフォルガーを抜いて14番手、序盤でコースアウトしたラバトはその後ろ
その後ラバトはフォルガーを抜き、マルケスも抜いて14番手まで盛り返す
ザルコとロウズの差はやや詰まって1.570
残り10周でアンソニー・ウェストがミスをしたのかやや失速、ラバト、フォルガーに抜かれて15番手まで後退
残り9周、リンスが1分43秒183と好タイムでロウズの背後に迫る
残り8周でカリオがブレーキングミス。シメオンに抜かれて5位
3位リンスと4位シメオンとの差は1.502
残り7周、シメオンが5コーナーでまさかの転倒
残り6周での順位はザルコ、ロウズ、リンス、カリオ、モルビデリ、ルティ、コルテセ、バルダッサーリ、ルイス・サロム、シャリーン、エガーター、ラバト、フォルガー、マルケス、ウェスト
中上は20位まで戻した
残り5周でザルコとロウズの差は1.901秒とまた開く。ロウズのタイヤはかなり限界にきている。またしても5コーナーでルイ・ロッシが転倒
残り4周、シャリーンがサロムを抜いて9番手。じわじわと順位を上げてきたラバトが10番手まで浮上したが再び12番手まで後退。レースも終わりが見えてきて中団で激しい順位争い。ザルコとロウズの差は2.2秒
残り3周でフォルガーが10番手まで浮上。リンスがロウズを抜いて2位に
残り2周、ロウズはややペースダウン。ザルコとリンスの差は3.133と、もはや覆せない。前に転倒したシメオンはかろうじて22番手を走行
最終周、2位リンスと3位ロウズの差が1秒に拡がる。ルティがコルテセを抜き返して6位。序盤のミスを挽回したフォルガーはシャリーンを抜いて9位


結果は、3周目でトップに立ってから一度も抜かれることなくザルコが優勝、ポイントリーダーのリンスがMoto2クラス最高順位となる2位を獲得、3位ロウズ、4位カリオ、22番手スタートのモルビデリは5位と健闘、6位ルティ、7位コルテセ、8位バルダッサーリ、9位フォルガー、10位シャリーン、11位ルイス・サロム、12位ラバト、13位ドミニク・エガーター、14位アンソニー・ウェスト、アレックス・マルケスは安定の15位
中上は20位と不満が残る結果となった


カタールで首位を独走しながらもマシントラブルで勝利を逃したザルコはタイヤウォールからのバク宙を見せてMoto2クラス初優勝の喜びを露わにした
最近振るわなかったミカ・カリオはやや調子を取り戻したか
ザルコのトップスピードは268.5km/h

MotoGPクラス決勝(25周)


気温24℃、路面温度32℃
アレイシ・エスパルガロが初のフロントロー獲得で、グリッドは
1列目マルク・マルケス、アレイシ・エスパルガロ、アンドレア・イアンノーネ
2列目カル・クラッチロー、ホルヘ・ロレンソアンドレア・ドヴィツィオーゾ
3列目ダニロ・ペトルッチ、バレンティーノ・ロッシ、マーベリック・ビニャーレス
4列目ブラッドリー・スミス、スコット・レディング、エクトル・バルベラ
5列目ヨニー・エルナンデス、ユージン・ラバティ、青山博一


アレイシ・エスパルガロがホールショット、続いてマルケスクラッチロー、ロレンソ、ドヴィ、ロッシ、イアンノーネ
ロッシはイアンノーネと接触して7位に後退、激しい先頭集団争いでロレンソが3位から2位へ、マルケスが先頭、クラッチローは5位から4位へ
アレイシは2位から3位へ
1周回って順位はマルケス、ロレンソ、アレイシ、クラッチロー、ドヴィ、イアンノーネ、ペトルッチ、ロッシ、ビニャーレス、エルナンデス、スミス
クラッチローがアレイシを抜いて3位に浮上。アレイシがミス?ドヴィとイアンノーネに抜かれて5位に後退。その後ろではロッシがペトルッチを抜いて7位に
ロレンソが失速、5位まで後退。クラッチローが2位に
3周目、アレイシは7位まで後退。ロッシは6位からロレンソを抜いて5位に
先頭のマルケスはペースを上げて後続を引き離しにかかっている
8周目にドヴィがクラッチローを抜いて2位に
続く9周目にロッシはイアンノーネを抜き4位。つづく10周目にクラッチローも抜いて3位まで浮上
残り14周でロッシは2位。2位集団のトップに出るとペースを上げ始める。イアンノーネがクラッチローを抜いて4位
この時点でマルケスとロッシの差は4.276秒
残り12周、18番グリッドスタートのポル・エスパルガロが9位まで浮上。8位まで後退したアレイシと並び順となる
ダニ・ペドロサの代役参戦の青山博一は17位と振るわない
残り11周、ロッシのペースが速く、マルケスとの差を3.181秒まで詰める
残り10周、青山はミラーを抜いて15位、2周目でロッシの前にいたペトルッチは12位まで後退、ロッシのすぐ後ろにいたビニャーレスは11位
残り9周でマルケスとロッシの差は3.093秒。青山はミスがあったのかジャック・ミラーとニッキー・ヘイデンに抜かれて17位まで後退
残り7周でロッシは2.314秒差。残り6周で2秒を切り2.003秒から1.710秒差まで詰める
マルケスも必死に逃げるがリアタイヤがスライドしまくっていてタイムが伸びない。マルケスのタイヤはフロント:ハード、リア:ハード、対するロッシのタイヤはフロント:ハード、リア:エクストラハード。このタイヤ選択が命運を分けるのか
残り5周目時点でロッシが1分39秒019のファステスト。対するマルクは1分39秒797とコンマ8秒近い差がある
残り4周で1.157秒のギャップ
残り3周ではついに1秒を切って0.404秒
青山はバルベラを抜いて13位
残り2周、ロッシの射程から必死に逃げるマルク・マルケスと渾身の走りで4秒差を縮めて追いついたロッシの全身全霊をかけた首位争い
一度得意のクロスラインで抜きかけたロッシだが失敗。だが7コーナーでがら空きのインから差込んで鮮やかにパス。抜かれたマルケスは今度はイン側から必死に追いすがるがもはやラインを取る余裕がない。続く9コーナーへの切り返しでロッシがマシンを右に振り出すとマルクのフロントを引っ掛けてマルケス転倒!マルケス、これは悔しい。ロッシが悪いわけじゃない。ただ自分が不甲斐なかった。カタールで5位に終わったときよりよっぽど悔しいだろう
最後独走となったロッシは危なげなく完走。
イアンノーネのすぐ後ろで4位を走っていたクラッチローは13コーナーでイアンノーネのインに滑りこむと最終コーナーでマシンを前にねじ込む魂の走りで3位フィニッシュ
ところが最終周でペトルッチを抜いて11位まで浮上した青山博一は13コーナーでペトルッチにインから当てられて転倒リタイア


最終順位は3戦で2回目の優勝となるロッシ、2ドヴィ、3クラッチロー、4イアンノーネ、5いまいちパッとしないロレンソ、6ブラッドリー・スミス、7アレイシ、8ポル、9スコット・レディング、10マーベリック・ビニャーレス、11ダニロ・ペトルッチ、12ジャック・ミラー、13エクトル・バルベラ、14ロリスバズ、15ステファン・ブラドル
ヨニー・エルナンデスは6周目でマシンが炎上してリタイア
トップスピードはロッシ327.4km/h、マルケス327.7km/h