ピアノが欲しい。と思った。
いつか一軒家に引っ越したら、実家から持ってこよう。
ピアノと、一本の樹と、猫3匹と、気軽の乗れる車と、小さな家と、大きなガレージ
小さな菜園と、芝生、大きな犬、眺めの良い風呂、天井いっぱいまで本で埋め尽くされた書斎、オヤジにもらったカメラ、地下室、小振りで実用的なキッチン、収納なんかはそんなに必要ない。ホームシアターなんてもっての他。BOSEのスピーカー、業務用のパワーアンプ、安物のプレーヤー、100円でまとめ買いしたレコード。たまには庭でパーティしたり、屋根から星を眺めたり。
意外とメルヘンだな。こうやって書いてみると。
そんな生活に女は必要ないし、むしろ積極的にいらない。たまに遊びに来てくれる女友だちぐらいは欲しいが、セックスも別にしなくても困らないしな。
大きなベッド、真っ白なシーツ、生成のカーテン、珪藻土の壁、高い天井、適度な生活感、白い大きめのお皿、大きなサラダボウル、縁の薄いマグカップ、タイマー付のコーヒーメーカー、中華鍋、パスタ鍋。夏は庭にテントを張って、寝袋で寝る。蚊は多いかも知れない。蛙が遠くで啼いている。時折、よく知らない小鳥が窓辺に降りてくる。
猫用のベランダ。猫専用のスペース。自転車はもちろん室内。ガレージの工具、作りかけの家具、コールマンのランタン、バスケットのゴール…
仕事は家でする。時々は打ち合わせに東京へ。旅行はしない。規則正しい生活。毎年、山に登る。写真は趣味程度。絵は結構描いている。個展ぐらい開くかもしれない。
理想?夢?妄想?変な女に捕まらなければ、子供を作らなければ、実現させるのは難しくはない。家庭をあきらめれば、その見返りは大きい筈だ。

大学に行きたい。もう一度勉強し直したい。