全編ワンカットということでもっと技巧的な画作りの映画を想像していたんだが、どちらかといえば定点的というか、主人公が夜、車を走らせながらあちこち電話するのを車に固定したカメラで映すのがメインでお話が進んでいく
画的にはどちらかといえば動きのない映画で、フォーマットは『『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』に近い、というかむしろほぼパクリと言っていい
以下ネタバレ
主人公がとにかく合理的で冷静な判断を下す男で、信義にも篤く、面倒見も良く、手下にも慕われ、彼女にも愛されというなぜ犯罪者やってるのか分からないような善人で、その主人公の信義の篤さも『オン・ザ・ハイウェイ~』に通ずるところがあるし、その信義の篤さや面倒見の良さが回り回って主人公を救うことになる、というあたりは『オン・ザ・ハイウェイ~』にはない気持ち良さがある。
映画好きの売人とのマイケル・マンの作品について語り合うところも良かったし、その会話の中で冒頭のシーンの"時は恵みなり"という意味深なフレーズが『マイアミ・バイス』の作中のセリフにつながり、最後には伏線としてちゃんと回収されるあたりも気持ちが良い