三十路おとめとモテはたち

三十路おとめとモテはたち 3巻 (ヤングキングコミックス)
三十路おとめとモテはたち 3巻 (ヤングキングコミックス)

ナナとカオル』以降の甘詰留太はお話作りがすごく上手くなったなーというか、『ナナカオ』ぐらいしか近作をチェックしてないせいかもしれないが、こんなにお話が上手かったっけと思った。ひょっとしたら自分が気付いてなかっただけで最初からずっと上手かったのかもしれんが
※と思って『ハッピーネガティブマリッジ』ちらっと読んでみたが、違うな、甘詰の女性観が変化したんだ


この話も設定自体はありがちで、「あーいつもの甘詰か」と流していたんだが、読んでみると「おや」と思うところがある
ありきたりな設定を使いながらも性愛への向き合い方、コンプレックスの両側面を描こうという意欲が感じられて良い
まーある種こういう(ときに独りよがりな)生真面目さが甘詰らしいっちゃ甘詰らしいのか
既刊は3巻までだがここまでのところの展開のテンポも悪くなく、ある意味わかりやすく処女をこじらせた姉よりも、もう少し分かりにくく設定されている妹の内面と、それに巻き込まれた格好の平田くんの性愛的な成長をどう描いていくか楽しみである


自分の"女"を権力の源泉として使い、男の情愛を動かして利用することに長けた(長けてしまった、長ぜざるを得なかった、と言うべきか)妹と、自らの"女"を封印することで、家長としての役割、そして職業人としてのプライドを保ってきた姉
そこに純朴な童貞、平田が加わるわけだが、妹は自分のために自らの性愛を抑圧せざるを得なかった姉に対して負い目があり、姉に性愛の悦びを教えるために、平田と姉をセックスさせるべく他ならぬ自分の"女"を使って平田を利用しようとする
姉は姉で、"女"の魅力において自分よりすべてが勝っている妹に対して強いコンプレックスを長年抱いていて、それも彼女が今なお処女である大きな原因の1つとなっている
妹はただ単に姉のために平田を利用しているようにも見えるのだが、彼女は姉をとても愛していて、他ならぬ姉のために見初めた男、という意味では彼女自身も平田に対して高い評価を与えているようにも見えるし、ある意味で自分が理想とする恋愛を平田を通じて実現させようとしているようにも見える
セクシーな妹に頼まれて姉と付き合うことになった童貞、というだけではなく、抑圧されてきた性愛の解放の過程、そして平田くんの最後の決断はどうなるのか、続きがとても気になる