水底へ

ふと大きな悲しみに囚われる
それは重く、暗く、のしかかってくるようだ
しばらくそうやって締め付けられるような悲しみの圧力を、ただじっと感じてみる
生きることはとてもとても不確定で、この先に楽しいことも嬉しいことも、心から喜びを感じることもないような、そんな気がしてくる
「きっと、俺にはなにか大切なものが欠落してしまっているのだ」
自嘲めいた自己分析は、ただそれでわかったような気になって安心したいだけの欺瞞なのだ
それは自分でもわかっている
何が原因かなんて、そんなことに意味なんてあるだろうか?
いままさに溺れかけている人間が「俺はなぜこんなことになってしまったのだ?」などと考えてみたところで、なんの意味もないように
かといって溺れぬよう必死にもがき暴れることもせずに、冷たい水底へ沈んでいくのをただ感じている
ほうっておけばそのうち底にはつくのだから