肥沃なシステム

http://d.hatena.ne.jp/solar/20090704#p1

ようするに日本の出版不況なるものは、1930〜40年代の統制経済のもとで生まれたレガシーなシステムを、そのまま後生大事に70年間も抱えてきたせいであって、個々のコンテンツのせいでもなければ、作家や読者のせいでもないのだ。作家になることだけでなく、あらたに出版社を起こしたり、新しい出版流通の仕組みをつくろうにも、既得権をもったいくつかの巨大出版社の存在により、新規参入がきわめて難しいシステムになっている。出版システム自体が、generativeでなくなっているのだ。

その証拠に、「肥沃なシステム generative system」が機能するサブカルチャーの領域では、コミケにせよ「文学フリマ」にせよ、あるいは講談社社内ベンチャー的にこの「肥沃なシステム」を取り込んだメフィスト賞にせよ、一定の成果を上げている。ケータイ小説が一時期盛り上がったのも、「小悪魔ageha」の成功(と伝えられるもの)も、たんにこの「肥沃なシステム」が機能するように、制度設計されていたからだ。