嗜癖システムと病因論的ドライブ

嗜癖アディクションか、アディクションならアディクションと書いてくれたほうが分かりやすいなぁなどと

嗜癖する社会

嗜癖する社会

 著者のA・W・シェフは、フェミニズムの視点から嗜癖問題を論じているセラピストである。セラピストというと、心理的な思考に偏りがちだと思われるが、シェフは、人間の心のありようを通して、社会のシステムを問い直すという社会的なパースペクティブをもった論を展開している。シェフは、アルコール嗜癖や薬物嗜癖、恋愛嗜癖、セックス嗜癖などの嗜癖問題が、個人の問題にとどまらず、アメリカに代表される現代社会システムの病理であるという。この嗜癖化した社会においては、嗜癖は社会への適応であり、嗜癖問題に悩む人は、社会への過剰適応に抵抗する身体を通して、しらふな(まっとうな)生き方を切りひらく可能性をもった者であると捉えられる。シェフは、人をコントロールする願望をもつとともに自分の感情を抑圧して魂を死に至らしめる嗜癖システムがまさに“白人男性システム”であることを洞察し、アルコール中毒を支えてしまう共依存者のように “白人男性システム”を支える女性たちのシステムを“反応的女性システム”と名付けている。

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ふーん…

文学の徴候

文学の徴候

 「ひきこもり」を専門とする精神科医斎藤環の初めての文芸評論。
 著者はまず、ラカン研究者の宮本忠雄が提唱する「エピパトグラフィー」を、作家の創造行為の中の病理的表現を個人の病理としてでなく、その関係性から考えようとした点で画期的だったと評価した上で、本書をエピパトグラフィー的な病跡学とメディア論の中間に属すると説明している。
 さらに作家個人の人間関係だけでなく、作家と作品、作家と共同体、作家と社会といった様々な関係性が創造の孵卵器としての環境に転ずると、ほんらいは健常であった作家の作品が、病理的なエレメントをいっぱいはらんだものへと変質する。その、一種の相互作用に似た仮説的な場を「病因論的ドライブ」と呼んだ。本書は、この実体があるのかないのかも定かでない「病因論的ドライブ」の所在を探す試みだそうだ。

http://www.kanshin.com/keyword/975339

へー…