ペリラオスの牡牛

嘘喰いに出てきたのはこれか…


http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/diodoros/historica09.html

断片19

 パラリスは、かのアッティカの青銅制作者ペリラオスをば、青銅の牡牛の中で焼き殺した人物である。というのは、この〔ペリラオスという〕男は、牡牛の装置を青銅で制作して、牛の二つの鼻孔に小笛を細工し、牡牛の横腹には戸口まで開けた。そうして、この牡牛をパラリスへの贈り物として引っ張って行く。そこでパラリスはこの人物を贈り物でもてなし、その装置は神々に献納するよう命じる。すると、かの青銅制作者、くだんの横腹を開けるや、悪巧みに満ちし裏切者に、人非人よろしく言ってのけた、「もしもあなたさまが、パラリスよ、人間どものどいつかを処罰したいとお望みなら、この牡牛の中に閉じこめて、下に火を敷き詰めなさいまし。すれば、この牡牛、そやつの呻き声にて唸るがごとくして、さらにはあなたさまは、両鼻の穴の笛によって、その呻き声に快感を覚えられましょう」。これを知ってパラリスは、かの男がおぞましく、「いざや」と彼は言った、「ペリラオスよ、そなたが最初に手本を見せてくれ、そして笛吹きたちの真似をして、そなたの腕のほどを見せてくれ」。得たりや応と、笛の真似をするために這いずり込むや、牡牛をパラリスは閉め、火を焚き付ける。しかし、死んでその青銅製品を汚すことなきよう、半死半生のところを引きずり出して、断崖から突き落とした。この牡牛については、シリア人ルキアノスが書き〔Phalaris 1, 1.〕、ディオドロス、ピンダロス〔P. 1.95.〕、このほかにも無量の人たちが〔書いている〕。[Tzetz. Hist. 1, 646.]