遊星からの物体X ファーストコンタクト

ジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』の前日譚を描いた作品
とりあえずまあなんやかやあって、「この中にエイリアンがいる!」という状況設定まではいいとして、登場人物の不合理な判断の連続でげんなりする
というか全員が合理的に行動するとエイリアンを駆逐してしまって話が進まないので仕方ない面もあるのだが


ヘリから生還した2人は勝手に脱走するわエイリアンじゃないのが確定している人間を撃ち殺すわ、その際に2つしかない火炎放射器(唯一エイリアンに有効そうな武器)の1つを破壊するわ、残った火炎放射器を持っているのに肝心なときに動かせず被害を拡大させるわ、最後はエイリアンに寄生されるわとこいつらがいなけりゃもうちょっとマシな結末になったんじゃないかという気がする
あと無機物には擬態できないっていう描写があるんだけど、これって服やなんかもエイリアンの擬態の一部ってことだよね?
だったらもっと簡単に人間とエイリアンを判別すること、できたんじゃないの?
だって服の一部を切り取ればすぐわかるやん
寄生獣方式で髪の毛を一本抜いてみるとかでもいいけど


謎なのは、宇宙船を建造しはるか遠くの惑星まで航行するだけの計り知れないほどの高度な文明を持っているはずの異星人が、見た感じけして高い知能を持ち合わせているようには見えないことで、高度な文明にはそれなりの文化レベルと倫理を伴っているはずだ、ということを考え合わせるといったいどういう行動ポリシーなのかがわからない
氷に眠っていた宇宙船を再起動できたことを考えると、あんな獣のような振る舞いをしながらも一定の知能は備えていると考えるべきなんだろうが、それにしては襲撃時の振る舞いが低レベルすぎるというか、能力があまりにも擬態に特化しすぎているような気がする
次々に寄生先を変えるウィルスのような生命体がはたして宇宙船を建造できるほどの高い文明を築くことができるのだろうか
また、やむを得ず漂着したのだとして、いくら下等とはいえ知能を有する土着の生命体を虐殺することに躊躇がないというのは緊急避難的措置にしてはやり過ぎなのではないか
もし仮にこの外来生物が異星人による兵器として地球侵略のために送り込まれたのだとすると、地球全土をすべて寄生しつくしたあとで一体どうするつもりなのかも謎である


前作の伏線回収というかオマージュを含めたとしても、いろんな意味でモヤる内容だった