オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013)

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 [DVD]
スティーヴン・ナイト, スチュアート・フォード, デヴィッド・ジョーダン, スティーヴン・スクラン
アルバトロス


原題はシンプルに"Locke"
主人公、アイヴァン・ロックのLockeから
これは彼の父から彼、そして彼の新しい息子へとつながるロックの姓
邦題もけして悪くないセンスだ
監督はスティーヴン・ナイト
主演はトム・ハーディ
他にも役者は出ているが声のみの出演で画面には一切登場しない


すごい映画だと思うこれ、ほんとにすごい
まず演出面で言うと、画面に役者が一人しか出てこない、それもずっと車を走らせているだけ
冒頭の工事現場のシーンを除き、車と、そして車が走っている道路、それしか出てこないというのは映画として物凄い冒険的
それでもちっとも退屈にならず、次はどうなるのか、最後はどうなってしまうのか、どんどん引き込まれてしまった
あと主人公の性格、彼は非常にまずい状況というか、仕事でも家庭でも危機を迎えてしまっているわけだが、その原因はすべて自分にあると自覚し、自らの過ちを正せると信じて、しかし何一つ投げ出したりせずに立ち向かおうとしている
彼は急いで病院に向かおうとしているが法廷速度を超えて車を走らせたりするようなことはせず、きっちりと法廷速度の上限を守り、現場の手配をし、部下や上司をなだめたりすかしたりもし、妻に真実を告白し、息子たちに「心配ない」と伝え、ロクに知らない女を電話で落ち着かせ、医師や看護師とも話しをする、すべて車を運転しながらだ


スティーブン・ナイトは『ハミングバード』は正直いまいちだったが、この作品で印象が大きく変わった
凡庸な監督なら映画の最後らへんに何かしら泣きの演出とか新しい生命をイメージするような映像やカットバックを入れたくなるところだろうが、そういうことは一切なく、最後までトム・ハーディ一人しか出さないのが良かった
トム・ハーディもどちらかというと甘いマスクのイケメンというイメージだったが今作は役者としての彼の評価を大きく上げる作品となるだろう
良いものを観た、という感想