96時間(2008)

原題は"Taken"
監督がピエール・モレル。脚本がリュック・ベッソンとロバート・マーク・ケイメン。全編ほぼ英語だがフランス映画である。


主演はリーアム・ニーソン(『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』『シンドラーのリスト』)
元CIAのエージェントで出だしは完全にしょぼくれたおっさんだが、昔は国のためにやばい仕事をしてたけど娘のために退いたこと。今なおその"技術"は健在であることがほのめかされる。しかしいくら娘のためとはいえ、仕事辞めて娘と同じ街に引っ越すとかこのパパちょっと怖い。


わがままというか放漫というか天真爛漫に育った17歳の1人娘キム役というかバカなアメリカ娘役のマギー・グレイス(『ナイト&デイ』)はともかく友人のアマンダ役のケイティー・キャシディー(『もしも昨日が選べたら』『ブラック・クリスマス』『ストレンジャー・コール』)がバッドフラグ立てまくりで、こいつ『ストレンジャー・コール』でもうざい女友達役やってたけど毎回こういう役なのな。
で、着いた初日からまんまと悪い奴らの罠に引っかかり2人とも誘拐されてしまうのだが、誘拐シーンの父娘のやりとりがなかなか良くて、目の前で友人が誘拐されるのを目撃した娘に「お前もいずれ見つかる」と宣告したうえで「5秒か10秒の限られた時間しかないができるだけ男達の特徴を伝えるんだ」と伝える。こっからパリに発つまでがこの映画で一番良いパートだわ。


で、こっからはパパ大暴れで娘を助け出すんだけど、基本英語しか喋んないのね。興行的な問題もあるだろうが、ここはもうちょっとフランス語を交えて欲しかったところ。フランスの公安名乗ってアルバニアン・マフィアのアジトに乗り込むのに基本英語で通すってちょっとおかしいんじゃねえか?と思っちゃうし、人身売買の場でも悪役含め全員ほぼ英語で喋ってるっていうのがかなり違和感ある。
あとパパが単身大暴れで映画的なカタストロフはあるんだけど、元CIAなんだったらもうちょり荒事だけじゃなくて人脈とか裏仕事のつながりとか昔の貸し借りとか織り交ぜて欲しかったなーと。実質昔の仕事のつながりは公安のおっさんと宿屋の親父だけだからなー。渡仏後は昔の同僚とも連絡とらないしここはもうちょっとチームで動くシナリオにして欲しかったわ。CIAの局員ぐらいフランスにも駐在してるだろうにそのへんのプロットが荒削りすぎ。なんにせよパパ無双すぎるし、娘のために20人ぐらいぶっ殺したり昔の友人の奥さん撃ったりしたくせに普通に帰国してるし、プライベートジェットで行ったはずなのに帰りは普通に帰ってくるしもうちょいオチというかツメを考えろと
そういえば現場のアパートで採取した犯人の服の繊維も結局あれから出てこなかったな


まあそのへん気にせず楽しめばいいのよ、というのも一理はあるがちょっと違和感が大きすぎるかなぁこれは。とはいえ、ずっと見たかった作品ではあったのでいちおう満足は満足です
しかしこういう父娘の関係回復というか夫婦の関係回復みたいなのはアクション映画によくある構成だけに、そろそろもうちょいなんとか考えて欲しいなぁ


作品について調べてて面白かったのは売れっ子歌手のシーラ役で出てくるホリー・ヴァランスって実際に歌手だったのね