インドにて

思いがけず脱ニートを果たし、まったくの偶然というか、まさしく運命のいたずらでこっちにきて、はや1ヶ月ちかくが経とうとしている。
ニートがインドで考えたこと」とか思いついたが、何番煎じかわからないぐらいの安易さゆえに即脳内で却下


いまいるのは、ハイデラバードという南インドのほぼ中央に位置する人口500万ほどの都市でバンガロールに次いでIT産業の中心として目覚ましい発展を今遂げている最中といった風である。
おそろしいもので、こちらの生活にもいい加減になれ、道を歩いている野良牛や野良犬や野良猫や野良鶏やラクダや馬にも、バイクの5人乗りにも、オートリキシャや乗り合いタクシーにこれでもかというぐらい人が乗っていたりすることにも、走っているトラックの屋根で人が寝ていることにも、側溝のない道路や傾いた電柱、あちこちで垂れ下がった電線にも、誰や彼やがヒンディーやテルグーや、インド訛りの英語で会話していることにも、インドのタバコにも、毎日のカレーにも、新鮮な驚きを感じることは少なくなった。
もっとも、はじめのうちはここがインドであるということよりも、ニート生活にどっぷりだった筈の自分がこんなところにいることの不思議さのほうが勝っていたような気もしないではない。ただ、最近それほど長く記憶を保てないので1ヶ月も経つと日本での記憶も薄らいできているといった方が正しいのだろう。