太陽光発電と計画停電

太陽光発電を含めた新エネルギー利用に置いて蓄電池を設置するメリットはないといわれている。蓄電池の設置はイニシャル・ランニングともにコストが高く、商用電源が利用できるエリアであれば余剰電力を売電し、不足分を買電したほうが合理的だからだ。
そこで安定的な電力利用のため電力会社の配線に系統連係をし、買電契約を結ぶ形態が一般的である。一緒にオール電化も導入している場合も多いだろう。
ところがここには落とし穴がある。

計画停電対策
計画停電時の売電


まず、停電時はエリアの電力系統との結節点であるパワーコンディショナーが自動的に停止する。
パワコンが商用電源を利用しているためというのもあるが系統保護を考えるとこれはやむを得ない。
しかしそれにともない配電盤からの電力利用は不可能になる。つまり屋内配線は使えなくなる。屋内配線が使えないということは室内照明や換気扇など直接配線されている機器は配線を外して付け替えない限り使えないということだ。オール電化を組んでいた場合、電磁調理器や給湯器も当然使えなくなる。
そして太陽光発電の場合、パワーコンディショナーに設置された自立運転時用のコンセントから電力を取ることができるが、パワーコンディショナーまでケーブルを引っぱってこなければならない上に1.5KWまでしか使うことができない。一般家庭では2〜4KWのパネルを設置することが多いようだが発電総量がいくらだろうと使えるのは1.5KWまで。自立運転時用のコンセントは200Vの電圧を出せるようになっていないために200V機器(大型のエアコンなど)は使えないし(使えたとしてもどうやって配線を?)、当然ながら夜間は発電が行えない。
ガスコージェネやガス燃料電池はどうかというと、停電時はガスも止まるためそもそも発電自体が行えない(ということはガス器具も使えないということか)し、停電時は発電しないようになっているようだ*1
つまりせっかく設置した発電設備がありながら停電中は電力供給に寄与することは一切できない。電力が不足しているにもかかわらず、だ。都市ガス利用のシステムにいたっては発電設備があるにもかかわらず自家消費分の電力さえ作ることができない。


これはつまりどういうことかというと、あなたの家にある発電設備はあなたのものとして利用できません、ということだ。系が独立していないということは、エリアの電力系統が止まれば繋がっているあなたの家の系も同時に止まってしまう。
ようするにだ、わざわざ自腹切って、自宅の敷地に電力会社の設備を置いてやってるのと同じことなんじゃないのか?これは。もちろんただ置いてやってるわけではないから発電量に応じて電力を買取ってくれはするがなんのことはない、事業者の電力供給を肩代わりしてやってるだけの話だ。太陽光発電だと発電のピークがちょうど需要のピーク(特に夏のエアコン)と重なり、昼間は家庭の需要も高くないため*2より一層都合が良い。あなたにとって、ではない。電力会社にとって。これではイニシャルコストを回収するまでの電気代を前払いしているのとなんら変わりない。無論メンテナンスの手間と費用はすべてこっち持ちで。
しかも、電力会社は住宅用発電設備からの買取分を電気料金に上乗せして発電していない家庭からも徴収している。なんという茶番だろう。これじゃ一方的な搾取となんら変わらないではないか。


まあといっても、太陽光発電を設置されるようなお宅は環境意識が高く、必ずしも元を取ろうと思っているわけではないだろう。それにどのみち太陽電池も家庭用コージェネ燃料電池も経済的なメリットは薄いことぐらい分かり切っているのだし。昨今の情勢からいっても太陽光発電コージェネによってピーク時電力を少しでも緩和することにはそれなりに意味がある。ただ、自前の発電設備がありながら停電すると使えなくなるのでは一体なんのための発電設備なのかという話になってくる。
家庭用の発電設備の有効な利用に向けて、今後一層の検討が必要だろう…と締めくくってもいいのだが提案がある。夢想と言っても良いが…


まず、「安定した電力の利用」をあきらめる。
そして系を切り離してしまう。
つまり独立システムにしてしまう。
当然、いままでどおりに電力を使うことはできないだろう。一般家庭の平均的電力使用量が4000kwh〜5500kwh/年というから電力利用の形態を根本的に見直さなければならない。ようするに「一般的なご家庭」ではなくなってもらう。
その上で、その上でね、イニシャルコストを無視(!)すれば2000kwh/年程度の使用量(+たまに電気止まるけど我慢する)なら蓄電池とソーラパネルでなんとかなるんじゃないかと思うが試算はしてないしする気もない(そんな知識も能力もない)。あくまでそんなような気がする、という程度の話ではある。まあでも実際山小屋なんかではそうやってなんとかやり繰りしてるんだろう、あくまで想像だが。
いっそのこと交流の機器の利用をやめてしまって全部直流にしてしまえばいいんじゃないのかなと思う。交流のメリットは電圧を変えやすい(ので高電圧で送りやすい(高電圧だと送電ロスがすくない))ことだが、自分で発電して自分で消費するなら送電や変電のロスは考慮する必要がない。
ただモータの駆動は当然交流の方が都合が良いし、パソコンや家電製品のすべてをいますぐ直流に置き換えるのは不可能だろう。でもバッテリーの性能も上がってきているし、大電力を必要としないのであれば適宜インバータを使えばいい話だ。


まあ主な問題は日本の気候かもしれないな。
まず日本の平均日照時間は3.3hと少ない上に、日照時間が長いとされる地域でも世界平均に届かない地域が大半*3太陽光発電向きではない。
その上、夏は蒸し暑くエアコンなしで過ごすのは不可能とは言わないが厳しい。北海道にでも住んでればエアコンのことは考えなくて良いがこんどは暖房が大変だろう。
しかし最近の家庭用エアコンは低消費電力化が進んでいて、最小電力消費が45Wと扇風機並みの製品もあるようだ*4。バッテリーの価格とメンテナンスだけはどうしようもないが15k〜16kぐらいの105Ahのバッテリー8個と2kwぐらいのパネル、の組み合わせでなんとかなるんじゃないかなぁと夢想している。バッテリーの方は持って2〜3年だろうが系統連係でもパワコンの寿命が10年でパワコン自体が40万〜50万ぐらいかかるみたいだから、あれ?ひょっとして大差ない?むしろ同じぐらい?
あとは発電ピーク時の余剰電力を電熱ヒータで熱に変えるとか太陽熱温水器でお湯作っといて貯湯タンクに蓄熱すれば案外給湯もいけるんじゃねえかなぁなどとね


電力会社とエコ利権にうまいこと言いくるめられて、大枚はたいて停電で使えなくなるシステム設置するより、使用量減らして自立したシステム組んだ方が良くない?ねえ?気分的に
経済的なメリットはまったくないけど電力会社に依存しないで電力使えることに魅力を感じるならぜひトライ!まあときどき止まったりするかもだけど、東電エリアにお住まいならどのみち計画停電で止まったりするわけだしwそれに地震ライフライン止まっても電気使えるし(電気は、ね)。なんといっても電力会社の電気使ってない=原発いらない!って堂々と言えちゃうのよね、これね(※ただし無職に限る)
というかまあ被災で都市インフラ停止したときにどうやって電力その他のライフラインを確保したら良いかなぁなんて考えてたから、主にそのせいなんだけどね…