ファイナル・カウントダウン(1980)

ファイナル・カウントダウン [DVD]

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1975就役のニミッツ級ネームシップでもある原子力空母USSニミッツが当時の最新鋭艦として登場する、というかそれだけで成立している部分が多い映画。
当然ながら当時の艦載機群もこぞって総出演していて往時の編成を現代と比較しながら見るのも楽しいだろう。
話の筋は、『戦国自衛隊』というかかわぐちかいじの『ジパング』に近いが、せっかく真珠湾前日にタイムスリップしたわりにF14が零戦2機を撃墜しただけで帰ってきてしまって何だか欲求不満である。ドラマ部分も、館長の判断とか、マーティン・シーンの立ち位置とか、取り残された中佐とヒロインもどきの扱いとか、ヘリとともに爆発した上院議員とか、総じてぐだぐだ感の否めない展開。人間ドラマを成立させようにもどれも中途半端で終わってしまってどうしたかったのかよく分からない結果になってしまっているのが残念。空母ごとタイムスリップした時点で指揮系統から離れてしまっている以上、(歴史への不介入という判断も含め)独自の判断で軍事行動をとるのか、それとも米国海軍としてその当時の米軍指揮下に入るべきなのかもっと葛藤があっても良かったんじゃないかと思う。劇中では当然のこととして真珠湾を阻止すべく作戦行動を開始しているわけだが、それ自体新旧どの指揮系統からも完全に逸脱している。もし帰還できなかったとしたらいずれ米軍指揮下の元で補給を受けなければ継戦もままならないだろうに、真珠湾の米軍を無視しての独自行動が軍規上良かろう筈もないのだが…。あのまま嵐が来ず、ニミッツ単独で日本の船団を壊滅させていたとしたら、大きく歴史が変わるのは間違いないが、米参謀本部としてはニミッツおよびその乗組員の扱いにも困ってしまうだろう。なにしろ彼らは未来を知っていてそれだけでも危険な存在なのに、たかだか40年とはいえ自分たちが知らない未来の兵器を装備しあやつっているのだから。


今では全機退役してしまったF14と零戦ドッグファイトは非常に心躍るシチュエーションではあるが少し納得がいかない。しかし実際ジェット戦闘機と単翼プロペラ機が戦闘したらどうなるんだろう?劇中では1機をミサイルで撃墜していたが、熱探知型のミサイルは役に立つんだろうか?零戦がF14を撃墜することは不可能だろうが、いかに旋回性能にすぐれたF14とはいえ、零戦相手に劇中のようなドッグファイトを挑むのはやや無理があるような気もしないでもない。せめて「ゼロファイターが遅すぎる!」とか「熱探知できないだと!?」みたいな解説的独白を入れてくれればもっと楽しめたのに。

VF-84のスカル&クロスボーンのマーキングはやっぱかっこいいよなぁ…マクロス世代としてはたまらんものがあるわ…
こうやって観直してみるとF14のパイロットもなかなかすごい機動を披露しているw


監督は『オーメン2/ダミアン』『新・猿の惑星』のドン・テイラー。この映画を見た限りではたいした監督ではなさそう。
主演はF-14トムキャット、ヒロインはEA-6プラウラーとA-6イントルーダー、他にF8コルセア、A-7コルセアII、A-3スカイウォーリアー。どこにいるのかわかんなかったけどF-4も出てたらしい。意外なところでA-5ヴィジランディ。そして影の主役E-2C。と、豪華な出演陣である。エキストラでカーク・ダグラスマーティン・シーンなど
挿入歌に聞き覚えがあると思ったら『聖母たちのララバイ』はここからパクったのね*1

ジパング(1) (モーニング KC)

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