フィクサー(2007)

フィクサー [DVD]

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アメリカでは悪徳弁護士もフィクサーと呼ばれている。アメリカの弁護士をフィクサーと呼ぶのは、裁判の始まる前に自分の陣営に不利となる証拠と証人を裁判から外す手段 (skill) を知っている事から指す(fixとは物事を意図的にarrangeする意味がある)。相手の手札を察知されないようにして抜き取り、クズの札を混ぜておくため、結果として敗北を嫌う相手が訴訟を降りて裁判が消滅することも珍しくない。

フィクサー - Wikipedia

監督はボーンシリーズの脚本家トニー・ギルロイ。監督としては初監督作か。今作での脚本も担当している
2500万ドルと低予算ながら最後まで目が離せなくなるのは主演のジョージ・クルーニーはじめキャストの魅力によるところも大きいだろう。
製作陣も豪華で、ソダーバーグをはじめアンソニー・ミンゲラ(『コールド・マウンテン』『イングリッシュ・ペイシェント』『リプリー』)やジョージ・クルーニーが製作総指揮。法律事務所のボス役で出演しているシドニー・ポラック(『トッツィー』『愛と哀しみの果て』)が製作にも参加している。
かわいそうな悪役にティルダ・スウィントン(『ウォーレクイエム』『オルランド』)。正義に目覚める変態親父に『バットマン・ビギンズ』で悪の親玉だったトム・ウィルキンソンとイギリス人俳優2人が目立つとこにキャスティングされている
デヴィッド・ザヤスは今回も刑事役。というかNYPD出身のザヤスにとってはこれ以上ない役回りだろう
音楽は売れっ子ジェームズ・ニュートン・ハワード
ミンゲラとポラックはこの映画の公開翌年の2008年にどちらも癌で亡くなっている。


オープニングとラストで時系列がちょっと交錯するが、その演出はかえってわかりにくかったかも知れない。プロットはいたってシンプルだが見せ方がうまくそれを感じさせない。殺し屋2人の手際の見事さがそれを引き立ててもいる。俳優の魅力がそのまま映画の魅力につながっているといっても良いが、素材の味を生かすのも監督の力量か。予算のかからないプロットに良いキャスティングと製作面での充実が伺える。派手さはないが良作である。