エニイ・ギブン・サンデー

エニイ ギブン サンデー [DVD]

エニイ ギブン サンデー [DVD]

あらゆる"フットボール"と呼ばれる競技の中で、もっとも野蛮で暴力的で、であるがゆえにもっとも高度な戦略を要求されるのがアメリカン・フットボールといえる。下手すれば骨は折れ、脳震盪を起こし、眼球すら飛び出すこともある男の世界を、いわゆる社会派監督のオリヴァー・ストーンが描く。主演はアル・パチーノ
あらすじだけで言うと、自らの野望に邁進する2代目女性オーナーという形容になってしまうキャメロン・ディアスだが、けしてそうではない。プロチームとしての利益のことも当然考えてはいるのだけれど、フットボールに向ける目線はけして怜悧で高慢なオーナーのそれではない。フットボールを愛するがゆえに、またフットボールによって奪われてしまった父の愛情を取り戻さんとするあまりに、その若さを犠牲にしてチームに入れ込み、女が口を出す隙のまったくない世界で一人奮闘する姿はむしろ可憐ですらある。


デニス・クエイドは年齢的にも体格的にもやや無理がある配役になっているが、そうとう鍛えたんだろうな、ちゃんとそれなりに見えている。
大活躍してのぼせ上がってしまう新入りQBに『Ray/レイ』でレイ・チャールズ、『マイアミ・バイス』でタブスをやったジェイミー・フォックス。チームの新しいアドバイザーにダークナイトアーロン・エッカート。珍しいところでチームドクターにジェームズ・ウッズとか、コミッショナー役でちょろっとチャールトン・ヘストンが。キャメロン・ディアスの母親役で往年の名女優アン=マーグレットが良い味を出している。あとLLクールJの衣装センスがなんかおかしい。
この映画のヤマはロッカールームでのアル・パチーノのスピーチで、そのためのフリとしてそこまでのすべてがある。プリゲームスピーチって言うんだけど、やっぱ上がるわー
全体にガチムチ率高めなのが良い。オチもただの良い話で終わらないところが良かった。プロットがわかりやすい分ありがちなストーリーと思われやすい映画だが、それだけではない何かがたくさんあると思うし、たぶんそれはアメフトという競技と選手への限りない愛だろうと思う