タクティカル・リロードとは?〜よくわからない誤った風説の流布

なぜか一部で

前作(MW2)と違い、CoD:BOではFALのリロードアクションがタクティカル・リロードではなくなった

などというデマが横行


たんに

リロード・アクションが変わったね

と言えばいいものを、なぜわかってもいないくせに「タクティカル・リロードではなく〜」などと言ってしまうのか本気で謎


ちなみに「タクティカル・リロード」という語そのものは「戦術的な弾倉交換」という程度の広範な意味を指すにすぎず、いわゆる「スピード・リロード」(空弾倉を捨てるリロード)や「エマージェンシー・リロード」(緊急的リロード、全弾撃ち切って弾倉・薬室が空になった状態でのリロード)と対比する場合においてのみ狭義に「薬室に残弾がある状態での弾倉交換」ないし「空弾倉を捨てない弾倉交換」という意味で用いられる。本来タクティカル・リロードとは薬室に一発残すことで初弾装填の手間を省き、リロードの際に生じる隙を最小限にすること、ひいては全弾撃ちきった後での弾倉交換という危険な状況を極力回避することにその意義がある。


というよりそもそも薬室という概念を採用していないCoD:BOCoD:MW2「タクティカル・リロード」そのものが概念上不可能である。残弾数によってリロード・アクションが変わる場合はその限りではないが、それはあくまでゲーム内において便宜的意味を持つのであって本来の意味ではない(リロード・アクションとタクティカル・リロードかどうかは本来関係がない*1)。しかし残弾数の有無によってリロード時間が短縮されるような効果はタクティカル・リロードの再現と見ることもでき、その場合(リロード・アクションに時間差異がある限り)においてゲーム用語として広義的に用いるのであればあながち間違いとも言えない。(しかしその用法であっても「FALのリロードがタクティカルリロードじゃなくなった」と言うのは明確に間違いである)


さらに言うなら、実戦的射撃技術に置いてはリロード動作も重要な技術の一つであり本来的にタクティカルな側面を持つ。ようするにリロードひとつとっても訓練を要する技術の一つであると言える*2。より現実に近づけるならゲームに置いてもそのような実装をすることが望ましいが実際的に難しく、実装したとしても操作が煩雑でかえってストレスを生むことにもなりかねない。結果としてユーザからみるとリロードは"単なる時間的損失"として認識されることも多く、そのためこのような誤解を招くことにもなるのだろう。


*1:リロードアクションが変わる武器と変わらない武器でタクティカル・ロードかそうでないか決まるというのは意味が通らない

*2:歩きながら、あるいは走りながら素早く弾倉交換することがどれほど難しいか、実際にやってみればすぐわかる