ALLEN&HEATH USB搭載・多用途ミキサー ZED-14
- 出版社/メーカー: ALLEN&HEATH
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なぜUSBミキサーか?
- アナログミキサーとオーディオIF、両方買うより安い(経済性が良い)
- オーディオIFとしてだけでなく普通のミキサーとしても使える、入力端子の種類や数が豊富(汎用性や自由度が高い)
- 部屋が狭くて機材を増やしたくない、配線を減らしたい(省スペースで可搬性が良い)
- 手持ちのPCにFW端子がないもしくは埋まっていて使えない(PC側IFの都合)
などなどなど…
逆にデメリットでいうと
- ほとんどのUSBミキサーがUSB1.1でPC入出力数が少なめ(2in2out)
- サンプルレートが低い(16bit/44.1kHzか48kHzしかない)
- USB2.0モデルは多チャンネル・高ビットレートだが値段が高め
- オーディオIFとしてもミキサーとしても中途半端*1
- USBオーディオIFと比較してスペースをとる
ということで
DAW用途ならFW IF+レコーディングミキサーという構成の方が一般的だし、これから本格的に宅録型DTMをはじめたいという人がUSBミキサーを選択する必然性はほっとんどないと言って良い。またオーディオ機器*2をPCに繋ぎたいとか録音したいとかだけのPCユーザーにとっても場所を取るだけでメリットが少ない。あくまでオーディオIFとミキサー両方が必要でスペースや予算が限られてるとか、軽い気持ちでDTMをはじめたい人向けの製品ではある。強いて言うならライブでPCを使うようなバンドマンとか、ビデオIFやストレージの方でFWを使いたい(かつオーディオIFにそれほど重きを置いてない)DTV制作者などなら選択肢としてありだろう。
まあつまりUSBミキサーはUstの四畳半配信者にはうってつけということだ。
ちなみに私はUst配信などしたこともないし、今後することもたぶんないし、音響のプロでもなんでもない。ここに書いてあることはほとんど妄想と想像によるものであることをあらかじめ申し添えておく
ところでどんな製品があんの?
まずメーカーでいうと
などから出ている
そして一口にUSBミキサーといっても
- いわゆるアナログミキサーにUSBをつけたもの(ミキサー型)
- MTRにUSBをつけたもの(MTR型)
- コントロール・サーフィス(フィジカル・コントローラ)にオーディオI/O機能を付加したもの*3
- DJミキサーにサンプラーやオーディオIFをつけて高機能化したもの*4
- オーディオIFにミキサー型コントローラを接続するもの*5
などさまざまあるが、今回は主にミキサー型を取り上げていこうと思う。というのも他のは中途半端すぎるうえに用途が限定されている。ていうかあんまり比較する意味がない。
さてということでそれに当てはまる製品を挙げていこう
- YAMAHA/MWシリーズ
- Mackie/ProFXシリーズ
- BEHRINGER/Xenyx USBシリーズ
- Alesis/MultiMix USBとMultiMix USB2.0シリーズ
- Allen&Heath/ZEDシリーズ
- Tascam/M-164UF
以上の5シリーズ1製品だ。それぞれチャンネル・バス・Auxセンドやリターンの数、エフェクトの有無など違いはあるものの、ファンタム電源付のXLR端子や各チャンネルのゲインコントロールやEQ、モニターアウトやヘッドホン端子などコンパクトミキサーとしての基本的な性能は押さえていると言って良い。ここでアナログミキサーの解説をする気はないが、チャンネルやバスは多い方がいいし、エフェクトもあるにこしたことはないし、大きいよりは小さい方がいいし、耐久性は高い方が良いし、高いよりは安い方が良いに決まってる。それぞれ相反する要素もあるので(高機能なら高くなるしでかくなる)そのへんは好みによると言うほかない。
製品選びのポイント
USBミキサー選びのポイントになるのはミキサーとしての性能ももちろんのことながら
- 付属ソフトウェアの種類
- 出力CH数(USB2.0対応かどうか)
- USBに送るチャンネルを選択できるかどうか(メインアウト以外のchをPCに送れるかどうか)
の3点だろう。そこで表にしてみた
シリーズ | 付属ソフトウェア | USB2.0 | USB出力数 | USB出力ch |
Yamaha/MW8&10 | Cubase AI4 | × | 2 | MAIN OUT(Post) |
Yamaha/MW12 | Cubase AI4 | × | 2 | REC OUTと同一(スイッチで各chから選択) |
Mackie/ProFX | Tracktion 3 | × | 2 | MAIN OUT(Pre) |
Behringer/Xenyx USB | energyXT2.5 Compact BEHRINGER Edition | × | 2 | MAIN OUT(Post) |
Allen&Heath/ZED10 | SONAR LE | × | 2 | RECバス(各chから選択)とAUX-FXの選択 |
Allen&Heath/ZED | SONAR LE | × | 2 | AUX1-2(Pre)/AUX3-4(Post)/MAIN OUT(Pre)の選択 |
Alesis/MultiMix USB | Cubase LE5(ただしMultiMix4&6 USBは記載なし) | × | 2 | MAIN OUT(Post) |
Alesis/MultiMix USB2.0 | Cubase LE4、Ableton Live Lite 7 Alesis Edition | ○ | 18/10 | 各ch+MAIN OUT |
Tascam/M-164UF | Cubase LE4 | ○ | 16 | 1-10ch+AUX1-2+SUB(L/R)+MAIN OUT(Post) |
まずソフトウェアだが大きくわけて
Cubase、Sonar、Tracktion、そしてベリンガーだけがenergyXT2.5を採用している。
ていうかポイントとして挙げたのはいいがソフトの使い勝手などわかる筈もないのでなんとも言えない。編集ソフトをすでに持っているかどうか、どこまで編集したいかによって変わってくるんだろうたぶん、きっと、おそらく…
ぱっと見で言うとMultiMix USB2.0だけAbelton Live Liteが付いてくるがそのせいなのか値段も高い。Behringerはメジャーなソフトではないが値段が安い。まあそんなとこだ。
次に出力ch数だが、USB2.0のMultiMix USB2.0とTascam/M-164UFは2ch以上の多チャンネル出力(PC側からみると入力)に対応しているがそれぞれちょっと違っていて、MultiMix USB2.0は各チャンネル出力+メインアウトに対し、Tascamの方は1-10chとサブアウト、メインアウトの組み合わせになっている。どっちが良いとも言えないが、価格的に言うとTascamの方はMultiMix 8 USB2.0より安い上に内蔵エフェクト付なのでお買い得感があるのはTascamということになる。というかMultiMix USB2.0だと価格的にはFWミキサーと変わらないのであえて選択するメリットがやや減るなぁという感じはある。
で、USB2.0製品を除くとUSBにメインアウト以外の出力が選択できるのはMW12とA&HのZEDシリーズだけだということがわかる。これがどういう意味を持つかというと、たとえば特定CHをUSBから出してPC側でエフェクトをかけ、またミキサーに戻すことによってPCをエフェクター代わりに使うことができる。他にもたとえば配信しながらスカイプをするとかメインアウトとUSBの音声出力が分けたいときにも便利だ。つまり自由度が格段に高くなる。もちろんUSB2.0の製品は各チャンネルが独立して取り込めるのでそのへんの自由度はさらに高い。だが値段も高い。
あともう1コ地味なポイントとして日本語マニュアルの充実度。Webで見たかぎりでは
Mackie=YAMAHA=Tascam>A&H>Behringer>Alesis
という結果になった。ようはベリンガとアレシスがあんま良くないということだ。というかこの2社だけブロック図が落とせなかった。ベリンガーのはなんとかマニュアルと呼べる代物だがアレシスは問題外。製品にはきちんとしたマニュアルが付いてくるのかもしれないが日本の代理店はもうちょっと頑張ってもらいたい。
でもお高いんでしょう?
ということで価格順一覧(参考:サウンドハウス)
シリーズ | エフェクト | ch数 | 価格 |
Alesis/MultiMix 4 USB | × | 4 | 11,450円 |
Alesis/MultiMix 6 USB | × | 6 | 13,800円 |
Behringer/Xenyx 1204USB | × | 12 | 17,500円 |
Alesis/MultiMix 8 USB FX | ○ | 8 | 17,800円 |
Yamaha/MW10C | × | 10 | 19,700円 |
Allen&Heath/ZED10 | × | 10 | 19,800円 |
Behringer/Xenyx X1204USB | ○ | 12 | 20,800円 |
Yamaha/MW8CX | ○ | 8 | 24,800円 |
Behringer/Xenyx X1222USB | ○ | 12 | 25,800円 |
Allen&Heath/ZED10FX | ○ | 10 | 28,300円 |
Yamaha/MW12C | × | 12 | 28,900円 |
Mackie/ProFX8 | ○ | 8 | 29,800円 |
Behringer/Xenyx X1832USB | ○ | 14 | 31,800円 |
Yamaha/MW12CX | ○ | 12 | 34,000円 |
Behringer/Xenyx X2222USB | ○ | 16 | 34,500円 |
Tascam/M-164UF | ○ | 16 | 34,800円 |
Alesis/MultiMix 8 USB2.0 | ○ | 8 | 38,200円 |
Mackie/ProFX12 | ○ | 12 | 39,800円 |
Behringer/Xenyx X2442USB | ○ | 16 | 40,800円 |
Allen&Heath/ZED14 | × | 14 | 41,200円 |
Allen&Heath/ZED12FX | ○ | 12 | 47,200円 |
Alesis/iMultiMix 16 USB | ○ | 16 | 66,200円 |
Allen&Heath/ZED24 | × | 24 | 74,500円 |
Allen&Heath/ZED22FX | ○ | 22 | 89,200円 |
ややわかりにくいが気にしない。
お買い得度で言うとTascamのM-164UFが突出している。BehringerのX2222USBとほぼ同じ価格でUSB2.0対応(24bit/96kHz 16in2out)。
Behringerは全体に安いがX1204USBがYAMAHAのMW12CXより1万円以上、MackieのProFX12と比べると2万円近く安い。
逆にMackieのProFXはどちらも割高感は否めない。
YAMAHAとA&Hはほぼ同じような価格帯だが20ch以上のUSBミキサーが欲しいならA&H一択。この一覧には入れなかったが最大36chまでラインナップされている。そこまでいくとUSBミキサーである理由もあまりないのだが、同じCH数のそこそこのアナログミキサーと比べて割高というわけでもないのでおまけでUSBがついてくると考えればお得なのかも
AlesisのMultiMix 16 USB2.0がサウンドハウスになかったので変わりにiMultiMix 16 USBが入れてある。これはiPodドックが付いていてiPodの音声をトラックに入れたりiPodに録音したりできる(ただしUSBは2in2out)が個人的にその部分にはあまり魅力を感じないのでMultiMix 8 USB2.0ともども割高な印象
価格が4万を超えるとそこそこのFW IFに手が届いてしまってUSBミキサーを選ぶ価格的なメリットは薄くなる。特に価格が赤字のモデルはコストパフォーマンス的には微妙なゾーンだ。
で、結局どれがいいの?
つうことで最終的に
1位
ALLEN&HEATH USB搭載 コンパクト・ミキサー ZED-10
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2位
- 出版社/メーカー: ヤマハ(YAMAHA)
- 発売日: 2007/07/01
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3位
- 出版社/メーカー: ティアック
- 発売日: 2009/06/23
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かなぁ完全に見た目で選んだけど
まとめ的な
繰り返しになってしまうがUSBミキサーは中途半端なポジションにある製品だ。音質面でもいまどき16bit 44.1/48kHzのサンプリングレートは魅力的とは言いがたい。音質や機能を求めていくと単体製品の組み合わせやFWミキサーにはかなわない。あくまでPCにFW端子がないとか増やす気がないとか増やせないとか、あるにはあるがほかの機材で埋まってるとか、予算やスペースが足りないとか、そういう消極的なメリット・制約がある人向けである。便利とはいってもオーディオIFが一個省略できるだけだからねようは。
まあそれでも、ミキサーの操作に慣れ親しんだ人にとってはオーディオIFのバーチャルミキサーよりは直感的でわかりやすいだろう。ラインを全部ミキサーに立ち上げておいてパッチベイ的に使うこともできなくはない。ミキサーとしてのつくりがしっかりしていれば、将来音質面で不満が出たときにオーディオIFを買い足してもいいし、ステージミキサーやサブミキサーとして活用することもできる。PCがなくても普通のミキサーとして機能するんだから。むしろ「ミキサー買ったらおまけでIF付いてきた!」ぐらいの方がいいのかもしれない。
単体でのオールマイティー性、ちょっとしたイベントからレコーディングまで一台で済ませたいという人にはFWミキサーをおすすめする
- 出版社/メーカー: Mackie
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ALLEN&HEATH ZED-R16 16チャンネル Firewireレコーディング・ミキサー
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もちろんUstやpodcastの配信に使うにはオーバースペックだしでかすぎるし重過ぎるし高すぎる。
USBミキサーを検討してる人、これから買おうと思ってる人、以上を参考にしてもいいし、しなくてもいい。自分の環境にあわせていろいろ考えてみよう。お金があるなら好きなもんを買ってくれ。
なお質問などがあるかたはコメントされてもお答えできない(つうかよく知らないのでお答えできることがない)のでご了承を。
<追記>いま気づいたが一部FWミキサーとUSBミキサーを混同して書いてる部分があるなぁ。メーカー名とかタイプ分類とか。でもめんどくさいから修正はしない…