現代日本のアニメ

現代日本のアニメ―『AKIRA』から『千と千尋の神隠し』まで (中公叢書)

現代日本のアニメ―『AKIRA』から『千と千尋の神隠し』まで (中公叢書)

非常によく勉強してるとは思うが、アニメ批評としてはゴミ。まずアニメ化作品とオリジナル作品の区別がついてないし、原作とアニメの違いもわかってない。配給の違いもまったく触れずにテレビシリーズも映画もOVAも同列に語っちゃうのはどうなんよ?アニメにもマスなのとそうでないのがあるのだけれど、その辺の意識はどうやら薄いようだ。まあその辺のズレっぷりを突っ込みつつ楽しむのが正しいんだろう。この人だって執筆にあたってそれなりにたくさんのアニメを観ただろうけど、日本のアニメについてどうこう言おうと思うなら桁が一つか二つ足りないね。だいたいアニメを語るのに挽歌モード・祝祭モード・終末モードみたいなモード区分を持ち出すところからして無理があるよなぁ。まああちこちから作品引っ張ってきて都合良く自論を組み立てようと思えばできちゃうんだけどね。なんせ材料には困らないから。
なによりあれだなと思うのはほっとんどガンダムシリーズについて触れてない。「現代日本のアニメ」ってキーワードでガンダム出てこないとかありえない。取り上げてるタイトルはそれなりだけど偏り具合がひどい。そもそもたかだかこのボリュームで「現代日本のアニメ」を俯瞰しようってのが無理なのに、アニメを通して戦後日本を俯瞰するみたいな話に広げようとするのは無理がありすぎるだろ*1。さらっと読めるのはいいんだけど結局のところ「アニメを語る」のも「日本を語る」のも中途半端で先入見にもとづいた「日本人観」の羅列でしかないという印象。日本人からしてもあれだし、在米のアニメオタクも納得せんだろこんなの。日本の文化にはそれなりに造詣が深いんだろうがその程度で日本のアニメを語ろうってのは無理。つうよりこういうロキノン臭い語り口が俺的に無理。あのあれだ、洋楽CDの歌詞カードについてくるよくわかってない批評家が書いた勘違いレビューみたいなあれ。あんな感じ。
まだアリゾナの爺さんのほうがわかってる

あとなぜか火垂るの墓とかはだしのゲンとか戦争が絡むと「中国で10年侵略戦争してたことを無視しようとしている」とかわけわからない理屈を持ち出すのはマジ勘弁して。どっちも日中戦争関係ないし舞台日本だし「交戦場面が欠如」してるのも当然だし戦争賛美でもないし、つかなんで日中戦争のせいで「現代日本のアニメ」が批判されなきゃいけないんだよwどこで吹き込まれたのか知らんけど「日中戦争について隠蔽してる」なんてこたないし「被害者ぶろうとしている」みたいな論理が出てくるのは著者自身の罪悪感というか加害者意識のあらわれなんだろうけどみっともないよ。
それにしたって

基本的に、原爆によって真珠湾攻撃の責任が回避され、韓国の植民地化や、10年におよぶ中国侵略も言い逃れできるようになったのである。

とはなんたる言い草。これをアメリカで出版したってかこの女。喧嘩売ってんのか、俺に。この姿勢そのものが作者が言うところの「道徳的につりあいのとれた計算」になってるという自爆ブーメラン。なに?そんなに罪悪感を感じちゃったの?「日本は中国も侵略して韓国も植民地化して真珠湾も攻撃したから原爆で非戦闘員を10万単位でしかも2回も投下して殺したけどしょうがないよね」って言いたいの?それを「現代日本のアニメ」ってタイトルの本で言う必要どこにあるの?バカなの?死ぬの?っていうかむしろ死ね。氏ねじゃなくて死ね。そもそもお前の歴史認識はいろいろおかしい。ちょっと2chでも行ってネトウヨに教育してもらえこのバカ女


ということで、この本を見かけたら迷わず燃やしてください(日米問わず)

*1:というよりもアニメ文化の蓄積が著者にはない(もしくはその密度が足りない)ので日本の文化全体から"日本の心性に基づく傾向"としてその根拠を求めざるをえないところに無理がある。その結果著者の"日本人観"の羅列に過ぎなくなる