セカンド・サイバネティクス

サイバネティクス的システム論は、「形なき物質に出来合いのパターン(情報)を押しつけることで秩序を形成し、ネガティヴ・フィードバックによって安定的に制御していく」、というものであった。このサイバネティクス的システム論から、「ゆらぎをはらんだ物質の広がりのなかからポジティブ・フィードバックを通じて自ずと秩序が形成されダイナミックに変容していく」[現代思想1984.152頁]、という自己組織化システム論へと、システム論は近年転換しつつある。 このシステム論における転換の先鞭をつけたのが、丸山孫郎の「セカンド・サイバネティクス」である。
 かれはサイバネティクスにおいてネガティブ・フィードバックによる制御・統制のみが重視されのにつよい不満をもっていた。たとえば卵子の成長において構造は複雑化・発展するし、それがもつ情報量も増大する。しかるにネガティブ・フィードバックでは構造のもつ情報は維持、もしくは消失するのみで、けっして増大することはない。つまりネガティブ・フィードバックによるサイバネティクス・モデルでは、生物などにみられる構造生成はとらえられないのである。
そこでかれが構造生成にあたって目をつけたのが、ポジティブ・フィードバックである。かれは、ネガティブ・フィードバックによる逸脱解消的システムを「ファースト・サイバネティクス」とよび、ポジティブ・フィードバックによる逸脱増幅的な相互因果関係の研究を「セカンド・サイバネティクス」とよんだ。また逸脱解消的相互因果過程を「形態維持」とよび、逸脱増幅的相互因果過程を「形態生成」とよんだ。かれはポジティブ・フィードバックによって逸脱が増幅されることで、組織が複雑化し進化することを示唆し、あらたな自己生成的な、みずから生成し発展・変化していくシステムについての理論の可能性を示したのであった。

社会システム論(3) : 社会学しよう!
ファースト・サイバネティクス
負帰還《ネガティブ・フィードバック》による逸脱解消的システム(=形態維持)
セカンド・サイバネティクス
正帰還《ポジティブ・フィードバック》による逸脱増幅的なシステム(=形態生成)