ぶっちゃけ

人が山に登る理由は、それこそ人それぞれにあるんだろうが、俺の場合は「山に登っている人でいたいから」というのが一番強い動機なんだろうと思う。ここ数年というか野人と遭遇してから「山」の印象というか対象とするもの、目標とするものはずいぶんと変わったし、それ自体は良いことだと思う
山暦17年のうち、高校山岳部から結婚で足を洗い脳内山屋と化した就職時期までは、とにかく「死なないこと」「安全であること」を主眼としてきたし、それが間違っていたとは今でも思っていない
ただ、「死と隣り合わせの山行」というものに直面したとき、その状況に身を置いたとき、もっと早くにこちらを指向すべきだったと思ったのも事実だし、もっと早くにそのための準備を整えてこなかったことをおおいに悔やみもする
けして無為に過ごしてきたわけではないが、いや、無為な日々もそれなりにあったが得るものがなにもなかったわけではないこの前半生だとは思うけれど、アスリートとしての肉体的限界を考えるとき、「もっと早くから手を付けていれば今頃…」という思いがよぎる
こと肉体に関しては、他のことを捨てなければ手に入らないものがあるんだと、いまさら思ったりする