キャズム

一般的にテクノロジーのライフサイクルはベル型の標準偏差のグラフによって示され、その各段階でターゲットとすべき顧客として、イノベーター、アーリー・アドプター、アーリー・マジョリティ、レイト・マジョリティ、ラガードといった顧客セグメントが行なわれます。通常、この顧客セグメントによって、異なるマーケティング施策を行いながら、徐々に新しいテクノロジーの顧客層を広げていくことが推奨されます。しかし、米のマーケティングコンサルタントであるジェフリー・ムーア氏が、同名の著書によって、明らかにしたのは、イノベーターとアーリー・アドプターで構成される初期市場と、アーリー・マジョリティやレイト・マジョリティによって構成されるメジャー市場のあいだには、容易には越えがたい「キャズム(深いミゾ)」あるということでした。顧客セグメントの違いによって生み出される、このキャズムを超えなくては、新しい商品はメジャー市場でブレイクすることなく、規模の小さな初期市場のなかでやがては消えていく運命となります。同著が、10年間にわたって米国ハイテク業界のバイブルとされたように、特にテクノロジーの進歩の激しい業界においては、強く意識することが重要なマーケティング理論です。

新しい革新的なIT技術を売り出す際のマーケティング手法を提案している。

まず購買層を次のように分類する。

イノベーター(innovators)
新しい技術が好きで、実用性よりも新技術が好きな人。オタク。
アーリー・アドプター(early adopters)
新しい技術によって、競合相手などを出し抜きたいと思っている人々。
アーリー・マジョリティー(early majority)
実用主義で役立つなら新しい技術でも取り入れたいと思っている人など。
レート・マジョリティー(late majority)
新しい技術は苦手だがみんなが使っているなら自分も使わなければと思う人たち。
ラガード(Laggards)
新しい技術を嫌い、最後まで取り入れない人々。

それぞれの間に溝があり乗り越えなければならないが、特にアーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間の大きな溝(キャズム)を乗り越えられるかどうかが、その製品が普及するか、一部の新製品マニアに支持されるにとどまるかどうかの一番の鍵である。

つまり

innovator
↓
early adopter
↓
early majority
↓
late majority
↓
laggard

であって

innovator
↓
early adopter
↓
<キャズム>
↓
early majority
↓
late majority
↓
laggard