『浄土』町田 康

ワケあって、というか部屋の片付けとかいろいろと日常の些事を片付けたい、という気持ちもあって映画断ちしているこの一週間。けして半額デーで安く借りたのに、しっかりと延滞料金を払わされたのが悔しいから、とかそういう理由ではない。
映画を観るのを止めるとなんだかゴチャゴチャとしょうもないことばかり考えたりする。だから普段は映画を観る事にしてるんだ。一種の思考停止の2時間を提供してくれるから。小人閑居。昔の人はうまいこと言った。

町田 康なぞ読んだことも読もうと思ったことも一度もないけれども、友人が貸してくれる時に熱心に薦めてくれたので読んでみた。『けものがれ…』を観て「なんじゃこりゃ」とか思ったけど、「ああ、この人はこういうタイプの物書きなんだな」と得心がいった。小松左京と星 新一を足して2で割って、そこから1引いて、悪ふざけした椎名誠を加えて更に支離滅裂にしたところに、井上ひさしと阿部譲二が並んで通りがかった、ような感じ。最大級の賛辞。
この支離滅裂感は見習うべきものがあるな、とか。わけのわからないことを散々並べておいて、次にはそれをくどくどしく説明したあげく、バサっとあっけなく終わらせる、その終わらせ方、とか。参考になる。

と、ここまで書いて、「このテンポは落語と同じじゃないのか?」と気付いた。が、気のせいだろう。どうせ。