SS

SS (1) (ビッグコミックス―Big comic superior)
ぬぁ〜ただいまですよ
マンキツいてきましたよ
それも家から遠いんですよ
それというのもこのホンの続きが読みたかったからですよ

これは実はすごいマンガなんじゃないかと、傑作なんじゃないかと思いましたよ
なんていうか映像的なんですよね、ひとつひとつのコマ割りが
それでいて、こうマンガじゃないと表現できないような描写がされてるんですよね
なんかね、こうこの人の頭の中で完璧な映像としてイメージされてるモノがあるんじゃないかと思うんですよね、で、それをどう描いたらうまく表現できるのかってことがよぉ〜っく分かってるって気がするんですよね
連載を読んでた時は、そんなに面白さを感じなかったんですよ。ホラ、車マンガってお話のスパンが長いから、一話じゃそんなに展開ないですから

でもなんていうか、この詩情というか、詩的というか叙情的な映像美というか
人物描写がね、柔らかいんですね。そして優しいですね。視点がね。ヒトにもクルマにも。愛してるんですね。ヒトもクルマも。はやく走るってことはね、目的じゃないんですよ、このマンガは。車マンガなのにね。一番であることはね、速く走るってことはね、とても大事なことなんですけど、「負けない」ことですよね、自分自身に。たとえば世の中であるとか、ルールであるとか。東本昌平というひとはとても「自由」ということにこだわる作家さんだと思いますよ。『キリン』を読んでも『CB感』を読んでも。「自由であろうとすること」なんですね。描かれているのは。縛ろうとするものを「打ち壊す」んではなくて「畏縮しないこと」これなんですよね。「走る」ってのはそういうことなんですね。この人にとっては。

とにかく魅力的な人物が多いですよ。このマンガは。ダイブツもそうですけどクリハラもね、とても魅力に溢れてますよね、ギラ子といいカブキといい、ブンブクも社長も山ちゃんも、歯医者の志村センセもママもね。それでいてみんながみんな物凄くリアルなんですね。「ああ、こういう人いるな、いそうだなぁ」特にママとかね。ああいるよね、って。
ダイブツぐらいかな、でも普段のダイブツは「ああこういうお父さんいるな」「こういうオヤジいるよな」っていうオヤジ感が出てますよね。それとジャッキーの時とのギャップがすごくイイ。

もし、まだ読んでなくて、たまたまこの日記を読んだ、という人は是非一度読んでみて下さい。車好きなら間違いなくヤられます。スタリオンというとても珍しい車が出てくるんですけど、延々とね、語るんですよ、この人は、この車の出自をね。いかに、この車のね、不幸なというか不運なというか、巡り合わせだったのか、と。見開きまるまる車のスペックの羅列ですよ。ストーリー上どうしても必要ってわけでもないのにねw
走るのを辞めた男が再び走り出すっていう時にね、その車はやっぱり「スタリオン」でなければならなかった、ということでしょうね、この人にとっては。デルタとかストラトスではなくて…「スタリオンでなけりゃダメでしょう」と。

とにかくこのマンガはもっともっと評価されていい。ヨーロッパとか持って行ったら結構良い評価されるんじゃないかって気がするんですけど、どうなんですかね。私の中では、もうほんとに刻まれてしまいましたね。この本は。